【有田の言葉】


(窯場のことば)

○イスパイ
柞の皮を焼いて灰となし、釉薬に調合
したもの

○エンソーフデ
陶画用具。竹を割って、片方に絵筆を
取りつけ、染付や赤絵付の円を描くた
めの筆(コンパス)

○オンザノス
窯の火通し穴、登り窯の炎が上の方に
上る火通し穴のこと。

○カラウス
唐臼。川の流れを利用して、陶石を粉
砕する「水碓臼」のこと。

○クルマ
ロクロのこと。クルマ坪はロクロのあ
る場所。

○クルカン
登り窯の最後の煙出し。

○シャークニン
細工人、ロクロ師。荒物シャーク、小
間物シャークなど。

○スボサシ
白磁の釉薬にポツポツと小さな穴があ
るのをスボサシと言う。藁スボで刺す
ほどの穴。

○タタライタ
焼き物制作の用具、糸切り制作の時、
粘土の厚さを平均して切るための定規
板のこと。

○タタラギ
窯薪のこと。

○チョッパゲ
製陶水用の道具。大きい瓢箪を二つ
割りにして柄を付け、水の時に水を掬
う道具。

○ツラモン
焼き物の二級品のこと。選別は上・ツ
ラ・下と分けられる。
○トンバイ
窯築用の煉瓦。「トンパイ」ともいう。

○トンボ
成形の時に使う道具。竹製で深さと直
系を同時に測る「トンボ」のような十
字形のもの。

○トンボー
窯の火色がちょうど焼き上げ温度であ
ること。

○ハマ
焼き物の焼成の焼台、形状の安定と収
縮を助けるための焼台

○ボシ
匣鉢のこと。炎が直接当たるのを防ぐ
ための匣鉢。

○ミザマ
窯の火色見る小さな挟間。

○ワクスイ
ウワグスリの訛り。釉薬りのこと。

(皿山の方言)

○アクチャーウッタ
悪態うつ。いやな仕事でたいへん骨が
折れた。

○イータカフージャー
言いたい放題。

○イーバチ
木製の浅い桶。五目飯など混ぜ合わせ
る時に使うもの。

○イチマキ
自己主張が強く他人の意見は耳に入れ
ないで主張を引き込めないこと。

○ウーアギタタク
何事でも耳にするとすぐ世間へ吹聴し
て歩く人のことを「大顎たたく」という。
大きなことをいう。

○オロカゲン
加減が悪いこと。少し気分が悪いこと
など。



○ゴキ
食器のこと。

○ゴキメゴ
食器を入れる籠。

○シーヤケドイ
一定の座に落ち付かないで、立ったり
座ったりする人。一つの職業に辛抱し
ない人をいう。

○ジョーギチャワン
自分用に定めて毎日使用する飯茶碗。

○セカラシカ
うるさいこと。忙しい時にくどくど話
しかけることなどを「セカラシカ」と
言う。

○ソイギント
話しを継ぐ言葉。接続語「ソイギンター」
も同じ。

○ソイソイビョーシ
それなりに良いかげんに取り計らうこと。

○タンカヤ
かたずける心のない人の家の中が、「ゴ
チャ、ゴチャ」と散らかしてあること。

○タヤマシカ
体が「ダルイ」こと。発熱してなんと
なく体がだるいことを「タヤマシカ」
と言う。

○チャンベラ
おしゃべりの人。つまらぬおしゃべり
をする人。

○テノクボシテ
皿の代りに手のひらで、食べ物を試食
すること。

○テッシラート
丁重に。

○トシトイギャーモナカ
年取りがいもなく、失敗ばかりするこ
とを言う。

○ドマグルル
狼狽する。「うろたえ」「あわてる」こと。

○トイクロイ
なまけて「のんべんだらり」として、
なまけていること。

○ナラチャ
茶碗の一種。奈良方面にたくさん売れ
たので、この名が付いたのであろう。

○ニゴシ
米の研ぎ汁

○ニヘラシカ
皮肉。意地悪い意図を含め皮肉ること。

○ヌタボー
不潔な人。「ヌタ」は味噌ヌタのこと。
味噌あえの汚れたのに例えたこと。

○ノフゾーカ
横着物。野放図の意。

○ハンキャータテル
いきりたつ。感情的にいきりたつ。

○ハザシコト
雇主に隠れて他の工場に働くこと。

○ハガイカ
切歯。歯をくいしばって憤ること。

○ヒンノワキヤマノボリ
工場の昼休みを利用して、小春日和に、
付近の小高い山で小宴をすること。

○ホトクナカ
敏速でないこと。何をさせても不器用
なこと。

○ムテッキューカ
後先を見ず無謀に行動すること。敵が
あろうが無かろうが急に行動すること。

○メメシャン
若く美しい女。「メメ」は(女、女)

○ワイヤーマケ
割合負け。宴会の会費の出し合いで、
酒を飲まない人が損をすると言うこと。



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