有田の歳時記 磁器の町・有田は元和2年(1616)陶工李参平が有田泉山に磁器の原料を発見されたといわれています。それ以降、有田はやきものを通じて急速に発展し、承応2年(1653)ごろからはヨーロッパへのオランダ商館を通じて大量の有田焼を(古伊万里)がヨーロッパへもたらされました。これらの背景により有田は独特の文化が生れました。窯元、商家のまつりごとは時代の流れにより多少の変化はあっても今もなお、継承されています。 1月 ●1/6 七福神 江戸時代から南山地区に伝えられている行儀で七福神の扮装をした七人の少年とお供の子供達一行が各家庭を訪問し「七福神のお入り」のかけあいで悪魔をはらい神をよび家内安全、豊作を祈願します。 ●1/7 七草 野菜や山菜、せりなどを入れて七種そろえて味噌汁にし、ご飯と一緒に食べ1年の健康を願います。有田ではおかゆや雑炊をしないのが特徴です。 ●初〜中旬 「初窯出し」・「車卸」・「筆おろし」・「帳祝い」各窯元では仕事始めの行事としてロクロ、窯、筆等に、商社では商いに感謝し、一年の工場の安全、商売繁盛を祈願します。 ●1/14 十四日節句 しめ縄をはずして、手かけの米として供えた米でご飯を炊きます。蒸らすときに正月の鏡餅の水餅にしておいたものを上にのせ、蒸れた餅に醤油をかけたり、砂糖をかけたりして食べます。 ●1/20 二十日えびす 床の間にえびす・大黒さまを飾り、その前に通帳と昔の天保銭を置きます。商家の家ではそろばんも置き、正月の餅を利用して飾りを作り、酒や料理を供えてお膳を整え ●4月第一日曜日 黒髪山開き 黒髪山県立自然公園の豊かな自然を満喫しながら春山登山を楽しめます。龍門山の家で入山式が行われ、黒髪、青螺の両山頂で記念碑が配られます。 4・5月 ●4/29〜5/5 有田陶器市 弘法大師開山の黒髪山を中心に、多数のお遍路さんが有田に来たので、そのお遍路さんを相手に窯元や商家の人たちが有田焼の半途物や傷物をザルや箱に入れて売っていました。その後大正4年、当時の町長久富三保助および深川六助等が陶器市として近隣に宣伝販売をすることを創案して、組織的な「やきもの市」を開催することになり、ますます盛んになってきました。イまでは約5kmにわたって有田焼の店がならび、全国から約90万人の人出で賑わいます。 ●4/29〜5月上旬 九州山口陶磁展 明治29年以来「有田焼陶磁器品評会」として毎年行われてきたものですが、有田焼創業350年を記念して昭和42年以降「九州山口陶磁展」と改称しました。九州山口地区の陶磁製品を第1部美術工芸品・第2部産業陶磁器に分け展示しています。 ●4/29〜5/5 有田陶器市協賛行事 有田焼陶芸協会作家商品店、伝統工芸士店、三県俳句大会、九州短歌会、各種スポーツ大会などが行われています。 ●5/4 陶祖祭 有田焼の守護身である陶山大神と陶祖李参平に、有田焼産業発展の報恩感謝をする祭りです。 6月 ●6/1 山登り 6月1日は山登りと称し、職人は5日〜6日くらい、仕事を休み酒宴や湯治に行くなど、唯一の行楽日でした。また、八阪神社では厄年にあたる男女が、厄除けに芽の輪をくぐって大祓いをうけ参拝のち宴会や小旅行をしたりします。 7・8月 ●7月下旬〜8月下旬 祇園祭 石場神社、陶山神社、八阪神社、椎谷神社など町内の各地で地区の氏神祭りが毎日のように行われます。 ●10/16 有田くんち 陶山神社と椎谷神社の秋祭りで窯業発展、豊作、家内安全等の報恩感謝をする祭りです。各町内のよりみこし、山車、踊り、浮立ちなどが出され賑わいます. 10月 ●10/17 有田町皿山まつり 窯業関係の企業、商店や有田町各区の町民が参加して陶磁器産業の発展を願う祭りです。毎年お祭り広場が作られ、多彩な催し物が企画されます。 11月 ●11月上旬 有田べんじゃらまつり 各地区の窯元および商社で秋のミニ陶器市が開催されます。春の陶器市の賑わいとは一味違って、山の紅葉を楽しみながら、のんびりとやきもの散策ができます。 ●11月上旬 茶わん祭り “新年は新しい茶わんで"というキャッチフレーズで昭和58年から開催されたもので、日常使用している茶わんに感謝するとともに有田焼の発展を支えてきた先人陶工たちの偉業をしのび供養します。期間中は欠けた茶わんの交換やチャリティーバザー等が行われます。 ●11月中旬 石場大相撲 磁器の原料が、日本ではじめて発見された由緒ある磁石場では、磁石採掘の安全と窯業の発展を祈願して、石場神社に奉納して行われた相撲大会が今でも毎年開催されています。 |